「コーチング」本 6冊を読む

 「コーチング」に関する本をくらべてみました。


1 本の紹介

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

谷口 祥子 著
秀和システム
2016年9月20日
280ページ

  • コーチングとは
  • コーチングの手順
  • コーチングの基本スキル
  • コミュニケーションの基礎づくり
  • 上司・部下間のコミュニケーション
  • 営業・接客・サービス職向け活用術
  • 教育現場・子育て向け活用術
  • 発想力を豊かにするコーチング
  • 自分を向上させるために
  • コーチングを生み出した心理学・カウンセリング手法
  • コーチが学んでいる心理学メソッド・関連手法

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

山崎 啓支 著
日本能率協会マネジメントセンター
2016年9月30日
397ページ

  • コーチングの基礎
  • クライアントとの信頼関係の作り方
  • コーチングによる「最高の力」の引き出し方

コーチングの基本

鈴木 義幸 監修
日本実業出版社
2019年1月20日
258ページ

  • コーチングとは何か
  • コーチのもつべき視点
  • コーチングの3原則
  • コーチング・プロセス
  • コーチングのスキルと実践例
  • 組織へのコーチング

人の問題を解決する実践コーチング

石川 和夫 著
商業界
2019年6月6日
207ページ

  • 現場の問題解決と「コーチング」
  • 問題解決に役立つ「3つのスキル」
  • Q&A会話例から学ぶ問題解決のポイント

新 コーチングが人を活かす

鈴木義幸 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2020年6月30日
292ページ

  • 刊行20年の大幅改訂にあたって
  • 相手と自分の発見をうながす
  • 相手と信頼関係を築く
  • 目標達成に目を向ける
  • 視点・切り口を変える
  • 主体的な行動をうながす
  • コーチングの達人に向けて
  • チーム・組織に対話を引き起こす
  • こんな場合はこのスキル

「コーチング脳」のつくり方

宮越 大樹 著
ぱる出版
2021年4月30日
302ページ

  • コーチングの背景にある「考え方」を理解する
  • コーチがつくる関係と基本的なスキル
  • コーチとして成長していくために

2 コーチングについて

(1) 求められている理由、背景

 組織における人間や人間関係の在り方に変化が生じてきていることから、必要なスキルとして求められているようです。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

一番負担がかかってるのが、中間管理職、マネージャークラスの人々です。(略)そんな中間管理職の負担軽減に一役かっているのがコーチングなのです。
(18ページ~)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

コーチングセンスを磨くことは、カウンセラーなどその他の支援食についても、上手に実施できる素地を作ることにもつながります。
(4ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

仕事や働くことに対する価値観が多様化している
個店対応力(現場力)が求められている
従業員が求める「リーダーシップ」が変わってきている
(8ページ)

新 コーチングが人を活かす

何が正解かが簡単には見つけられなくなってきていること。
組織における多様性の拡大
イノベーションを求める声の高まり
(6ページ~)

(2) コーチングの流れ

 目標を定める、現実の認識する、行動計画の立案する、行動する、確認する、という流れとなります。

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

目標の明確化
現状の確認
課題(足りないもの=ギャップ)の明確化
課題の克服
(49ページ)

コーチングの基本

① セットアップ
② 目標の明確化
③ 現状の明確化
④ ギャップの原因分析
⑤ 行動計画の作成
⑥ フォローアップ
(106ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

問いかける
ほめる・認める 聞く
コミュニケーション環境を整える
(14ページ)

「コーチング脳」のつくり方

① 問題にこちらから深入りしない
② 良い状態で理想を引き出す
③ 現実的なゴール(目標)と新しい行動を具体的に決めてもらう
④ 新しい行動をとれるよう勇気づける
⑤(必要なら)障害対策のプランを用意する
(159ページ)


3 ほぼ共通する点

(1) 目標

 目標は明確に設定する必要があります。具体的であればあるほど良いようですし、それを明確にする作業もコーチングに含まれます。。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

クライアントの未来イメージが明確になればなるほど、目標達成への一歩が踏み出しやすくなります。
(50ページ)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

目標を「なりたい状態 = 願望」ととらえて、コーチングによる願望実現をテーマとします。
(196ページ)

コーチングの基本

コーチは目標達成を支援する
コーチングには「目標」が不可欠
(23ページ)

新 コーチングが人を活かす

目標達成に向けて「がんばれ」のかわりに目標に関する質問をたくさんする
(116ページ)

「コーチング脳」のつくり方

ゴールを具体化することで、行動も具体化されます。逆に、抽象的であいまいなゴールに対しては、どんな行動を起こしたらいいかわからないのです。
(175ページ)

(2) コーチングを受ける人の主体性

 クライアントの主体性、自発性が重要となります。
 コーチングを行う人はそれをどのように引き出すかということに手腕が問われます。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

コーチが聴き役になり、質問を投げかけたり、感じたことを伝えることで、クライアントが課題と正面から向き合うことを可能にするのです。
(30ページ)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

クライアントが、自分の中に内在する「最高の力(潜在力)」を信頼できなければ、コーチに依存的になってしまいます。
(348ページ)

コーチングの基本

最終的にはコーチなしでも、目標に向かって自ら考え行動できる状態、つまり、クライアントが自走している状態になることが、コーチの役割です。
(73ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

必要になるのが、上司が部下に問いかけ、「問題を主体的に捉え、解決策を自ら考える」機会をつくることです。
(37ページ)

(3) 未来志向

 いま、現在にとらわれることなく、未来を志向して問題を解決する考え方があります。これは、目標設定や現状把握の段階だけでなく、コーチングにおけるさまざまな場面で使うことが出来ます。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

コーチングでは ” 過去 ” や ” 問題 ” に焦点を当てるのではなく、” 未来 ” と ” 可能性 ” に焦点をあてます。
(76ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

従業員が「未来に向かって進んでいる」と自分自身の存在価値や成長を感じることにもつながり、やる気が高まる職場環境づくりにも役立ちます。
(47ページ)

新 コーチングが人を活かす

行動のプロセスではなく、その行動の先の〝いいこと〟をイメージする。そうすれば、驚くほどすっと行動を起こすことができます。
(140ページ)

「コーチング脳」のつくり方

制約を外して未来を考える
理想を語ってもらう中から、クライアントが大切にしたいことへの理解を深めたいのです。
(184ページ)

(4) リフレーミング

 リフレーミングにより視点を変えることで新たな能力・可能性の発見があります。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

「リフレーミング」とは、これまでの思考の枠組みから外に出て、物事を違った視点からとらえなおす手法。
(82ページ)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

リフレームでフィルターをかけかえる
ネガティブな反応を作り出すネガティブなフィルターを、ポジティブなフィルターにかけ替えることをリフレームといいます。
(118ページ)

新 コーチングが人を活かす

別のフレームに入れてみることで〝当たり前〟に揺らぎを起こす発見がある
(250ページ)

(5) コーチの立ち位置

 クライアントとコーチは対等の立場ですね。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

コーチが一方的にクライアントを変える手法ではありません。二人三脚でよりよい未来を創造していくのがコーチングです。
(37ページ)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

コーチはクライアントの鏡として存在することによって、クライアント自身の中にある最高の力(潜在力)に気づかせるのです。
(184ページ)

コーチングの基本

コーチとクライアントのリレーションは、上下関係ではなく、横に並んだ関係です。ちょうど2人で並んで椅子に座って、目の前に立てかけられたホワイトキャンバスを見ながら、対話をしていくイメージです。
(21ページ)

新 コーチングが人を活かす

〝引き出す〟から〝一緒に考える〟へ。
問いを〝相手と共有するもの〟にする
(32ページ)

「コーチング脳」のつくり方

課題に取り組む責任があるのはクライアントです。コーチはクライアントが課題に取り組み、成果を出せるように、サポートします。
(112ページ)

(6) 聞く

 コーチは相手の話をよく聴く必要があるといいます。
 それはなぜなのでしょうか?

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

傾聴の第一歩は ” 相手に意識を向けること ” 。
(64ページ)

コーチングの基本

クライアントが何をいわんとしているのか、あるいは、その発する言葉の言外にある本質は何なのか、を聞き分け、正しく理解することが求められます。
(143ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

相手から話を「聞く」、3つの目的
① 相手に安心感を与える ② 相手の頭の中を整理する ③「説得点」を探す
(16ページ~)

「コーチング脳」のつくり方

ここで出てくるのが「傾聴」です。クライアントの話に意識を向け、それをしっかりと受け止め、その奥にある本当の望みが知りたいと関心を持って聞き続ければよいのです。
(139ページ)

(7) 質問の手法

 コーチは相手に質問をすることにより話を進めていくわけですが、どんな質問をするのかにも工夫が求められます。
 目的により、限定型の質問または展開型の質問を使い分けます。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

「今の仕事は好きですか?」はクローズド・クエスチョンと呼ばれ、は情報収集や確認などに使われます。(略)「今の仕事のどんなところが好きですか?」はオープン・クエスチョンと呼ばれ、クライアントのリソースを引き出したり、ビジョンを創り上げたり、行動を促すことに使われます。
(74ページ)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

「クローズドクエスチョン」
「Yes」か「No」で答えられる質問で、事実を聞く時に使います。
「オープンクエスチョン」
 クライアントの思考を深め、アイディアを創造する効果があるのがオープンクエスチョンです。
(44ページ)

コーチングの基本

質問には、大きく分けて「クローズド・クエスチョン」と「オープン・クエスチョン」の2種類があります。(略)前者は、行動プランをより明確にしたり、目標を具体的に設定する際に有効で、後者は考えを広げ、深める場合に効果的です。
(145ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

コーチングで使う問いかけは大きく分けると、「限定型」と「展開型」の2つがあります。(略)
限定型・・・事実や相手の考えを確認する時に活用
展開型・・・相手の考えを深めたり、広げたりする時に活用
(40ページ~)

(8) 沈黙

 コーチされる人が黙ってしまうときがあるそうです。
 しかし、これは「停滞」「思考停止」「手詰まり」ではなく、別の意味があるといいます。
 そして、そんなときはどうするか?

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

「何を感じていますか」「何が見えますか」「何が聞こえますか」といった、五感に問いかける質問が効果的なのです。
(81ページ)

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

口を挟み、自分が話し始めてしまうのは控えてください。相手の考えを中断してしまいます。
(49ページ)

新 コーチングが人を活かす

沈黙という、普通は偶発的に起きる〝間〟を、相手の発見をうながすためのかけがえのない時間に意図的に変えてみてください。
(48ページ)

「コーチング脳」のつくり方

クライアントが沈黙している理由が分からない時はクライアントに「いまどんな感じ?」「いま何が起きていますか?」などと穏やかに尋ねてみればいいでしょう。
(145ページ)

(9) 安心・安全

 コーチングが成功する条件は、コーチを受ける側が安心感を抱いているときだそうです。

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

心を開いているとき(リラックスできている時)は、潤沢なエネルギー(潜在力)を使ってコーチングを受けることができます。
(143ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

自分の話を聞いてもらうことで、相手は(略)職場における自分の存在価値を認識できるようになります。それが安心感につながり、不安が減って行動を起こしやすくなるのです。
(16ページ~)

「コーチング脳」のつくり方

コーチングの場は安心安全である必要があります。(略)ぜひコーチングの場を「リスクをとれる場」にして欲しいのです。
(104ページ~)

(10) 相手のペースで

 その安全・安心な雰囲気をつくるためには信頼される必要があります。
 その信頼を勝ち取るにはどのような手法があるのでしょうか。

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

そのためセッション時に相手の呼吸、話すスピード、声のトーンやボリューム、抑揚などにできるだけ合わせることで、相手に安心感を与え、信頼関係を形成することができるのです。
(66ページ)

コーチングの基本

相手に波長を合わせる、同調するといったことです。また、「クライアントの話を否定せず、最後まで聞き、受け止める」という姿勢もふくまれます。
(144ページ)

人の問題を解決する実践コーチング

相手が話しやすい環境を作る「ペーシング」
① 目の「高さ」を合わせる
②「声の大きさや速さ」を合わせる
③ 共通の話題について話す
(21ページ)


4 特徴的な点

(1) オールラウンドの教科書

最新 コーチングの手法と実践がよーくわかる本【第3版】

 コーチングの理論、手順、スキル、実践(上司部下・接客・教育・子育て)、コーチとしての発展、さらなる高度理論、メソッド・手法までをも解説しています。

(2) 理論重視

NLPで最高の能力が目覚めるコーチングハンドブック

 卓越したコーチになるための3要素を知識・経験・センスとし、特にセンスを開花させるためには特別な戦略が必要だと解説しています。
 さらに、センスの開花には自分の存在そのものの変容が必要であり、そのためには意識の持ち方を変える必要があるということです。

(3) 定番の書

コーチングの基本

 初版は2009年でありそれを改訂したのが本書です。
 コーチ、コーチングの原則・プロセス・スキルを解説し、最後には組織へのコーチングをもカバーしています。

(4) 会話例が豊富

人の問題を解決する実践コーチング

 いわゆる「現場」では問題解決のためのコーチングが求められているとして、その解決のための3つのスキル、聞く、ほめる・認める、問いかけるスキルを紹介し、豊富な会話例(従業員、面接、チーム力など)により実践的なコーチングを紹介しています。

(5) 入門版

新 コーチングが人を活かす

 初版が2000年の「コーチングが人を活かす」の改訂版です。
 コーチングが貢献できる領域はスポーツ、医療、学校・家庭などに広がっているとして、ご自身の豊富な経験をもとに解説されています。

 

(6) コーチとして

「コーチング脳」のつくり方

 ご自身のコーチとしての成長経験やアドラー心理学を交えて、コーチングの考え方にはじまり、コーチングの基本的なスキルだけでなく、コーチとして成長するための戦略についても解説されています。

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