多次元配列のデータを使って、いわゆる表の形でデータを表示してみます。
1 多次元配列の要素をテーブル形式で表示
まずは HTML におけるテーブルの書式を再確認します。
書式
<table border = "1">
<tr>
<th>項目名</th>・・・<th>項目名</th>
</tr>
<tr>
<td>内容</td>・・・<td>内容</td>
</tr>
・
・
・
<tr>
<td>内容</td>・・・<td>内容</td>
</tr>
</table>
表の「行」にあたる部分は、先頭に <tr>、末尾に </tr> を置いて囲う必要があるのでしたね。
また、border = “1” の部分は、表の線の太さを指示しています。
まず全文を示します。
HTML
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<title>多次元配列の要素をテーブル形式で表示</title>
<meta charset="UTF-8">
<style type="text/css">
td { text-align: center; }
</style>
</head>
<body>
<table border = "1">
<tr>
<th>〔順位〕</th><th>市・区</th><th>人口(万人)</th><th>都道府県</th>
</tr>
<script>
let ppl = [
["特別区", 979, "東京都"],
["横浜市", 376, "神奈川県"],
["大阪市", 277, "大阪府"],
["名古屋市", 232, "愛知県"],
["札幌市", 195, "北海道"],
["福岡市", 164, "福岡県"],
["川崎市", 154, "神奈川県"],
["神戸市", 149, "兵庫県"],
["京都市", 143, "京都府"],
["さいたま市", 134, "埼玉県"]
];
for(let i = 0; i < ppl.length; i++){
document.write("<tr>");
document.write("<td>〔" + (i + 1) + "〕</td>");
for(let j = 0; j < ppl[i].length; j++){
document.write("<td>" + ppl[i][j] + "</td>");
}
document.write("</tr>");
}
</script>
</table>
</body>
</html>
ブラウザ
〔順位〕 | 市・区 | 人口(万人) | 都道府県 |
---|
生データよりも格段に見やすい表ができあがりました。
しかも、順位が付いています。(あらかじめ人口が多い順番にデータが並んでいます。)
項目名の部分はそのまま HTML 形式のままですが、データの部分は繰り返し処理を使っています。
このコードを上から順にみていきましょう。
その前に HTML の <head> 内のコードを説明しておきます。
HTML
<style type="text/css">
td { text-align: center; }
</style>
この部分は表のデータを中央ぞろえで表示するという指示です。
2 表の項目の部分
まずは表の項目名を表示するためのコードです。
HTML の一部
<table border = "1">
<tr>
<th>〔順位〕</th><th>市・区</th><th>人口(万人)</th><th>都道府県</th>
</tr>
ブラウザ
〔順位〕 | 市・区 | 人口(万人) | 都道府県 |
---|
ここは HTML のコードそのままですね。
3 <script> の部分(前半)
次に、<script> の開始から、配列の部分です。
HTML の一部
<script>
let ppl = [
["特別区", 979, "東京都"],
["横浜市", 376, "神奈川県"],
["大阪市", 277, "大阪府"],
["名古屋市", 232, "愛知県"],
["札幌市", 195, "北海道"],
["福岡市", 164, "福岡県"],
["川崎市", 154, "神奈川県"],
["神戸市", 149, "兵庫県"],
["京都市", 143, "京都府"],
["さいたま市", 134, "埼玉県"]
];
ここも問題ないかと思います。
4 <script> の部分(後半)
次に、繰り返し処理の部分です。
HTML の一部
for(let i = 0; i < ppl.length; i++){
document.write("<tr>");
document.write("<td>〔" + (i + 1) + "〕</td>");
for(let j = 0; j < ppl[i].length; j++){
document.write("<td>" + ppl[i][j] + "</td>");
}
document.write("</tr>");
}
</script>
相当複雑そうに見えます。
繰り返し処理のなかに、さらに 繰り返し処理 が記述されている構造になっています。
そこで、この内部の for 文は後から検討することにして、まずは一つ目の for 文以下に記述されている document.write のみについてみていきます。
見やすくしてみました。
HTML の一部
for(let i = 0; i < ppl.length; i++){
document.write("<tr>");
document.write("<td>〔" + (i + 1) + "〕</td>");
// 繰り返し処理
document.write("</tr>");
}
document.write が3つあります。
まず、一つ目の document.write と三つ目の document.write に注目します。
HTML の一部
for(let i = 0; i < ppl.length; i++){
document.write("<tr>");
document.write("<td>〔" + (i + 1) + "〕</td>");
// 繰り返し処理
document.write("</tr>");
}
これらは最初に <tr> を出力し、最後に </tr> を出力するというものです。
それぞれの出力を、変数 i が「0」から ppl.length より小さい間、繰り返し実行することになります。
出力される HTML の一部
<table border = "1">
<tr>
<th>〔順位〕</th><th>市・区</th><th>人口(万人)</th><th>都道府県</th>
</tr>
<tr>
</tr>
・
・
・
<tr>
</tr>
</table>
表の形式でいうと、「行」を示すためのコードが出力されたことになります。
なお、わかりやすいように、改行・インデントは手入力で追加しています。
次に、二つ目の document.write です。
HTML の一部
for(let i = 0; i < ppl.length; i++){
document.write("<tr>");
document.write("<td>〔" + (i + 1) + "〕</td>");
// 繰り返し処理
document.write("</tr>");
}
write メソッドの対象は、① <td>〔 ② i + 1 ③ 〕</td> の部分に分けて考えることができます。
まず、②の部分は変数 i に1を加算した数字が入りますので、1回目のループでは「1」が入りますね。
したがって、二つ目の document.write により、1回目のループでは <td>〔1〕</td> というコードが出力されます。
出力される HTML の一部
<table border = "1">
<tr>
<th>〔順位〕</th><th>市・区</th><th>人口(万人)</th><th>都道府県</th>
</tr>
<tr>
<td>〔1〕</td>
</tr>
・
・
・
<tr>
<td>〔10〕</td>
</tr>
</table>
この <td>・・・</td> は <tr> と </tr> との間にありますので、この位置にコードが出力されます。
あとは、その繰り返しですね。
なお、ここでもわかりやすいように、改行・インデントは手入力で追加しています。
さて、ここまで説明したコードではどのような結果になるでしょうか。
ブラウザ
〔順位〕 | 市・区 | 人口(万人) | 都道府県 |
---|
変数 ppl に入力した要素(配列)の部分以外の部分について表ができていますね。
そして市・区、人口、都道府県の部分は for 文の内部にある for 文で出力されることが容易に予想できますね。
それでは、その部分を生成するコードをみていきましょう。
HTML の一部
let ppl = [
["特別区", 979, "東京都"],
・
・
・
for(let j = 0; j < ppl[i].length; j++){
document.write("<td>" + ppl[i][j] + "</td>");
}
参照しやすいように、変数 ppl の0番目の配列を表示しています。
変数 j が「0」でこのループがスタートし、j++ とあることから、「1」ずつ変数 j の値が増えていきます。(増分処理)
そして、変数 j の値が ppl[i].length よりも小さいときのみループが続いていきます。
1回目は ppl[0] ですので、その内容は「”特別区”, 979, “東京都”」となります。
よって、この要素の数(配列の長さ)は「3」です。
そして、ppl[0] の length オブジェクトで得られた値を条件式にしていますので、判定される条件式は j < 3 ということになります。
つまり、このループは結果的に「0」から「2」まで、合計3回繰り返されることになります。
次に繰り返される処理についてみていきましょう。
HTML の一部
let ppl = [
j = 0 j = 1 j = 2 ← 内側のループ
["特別区", 979, "東京都"], i = 0 ← 外側のループ
["横浜市", 376, "神奈川県"], i = 1
・
・
・
for(let j = 0; j < ppl[i].length; j++){
document.write("<td>" + ppl[i][j] + "</td>");
}
<td> と </td> の部分は値が入る「場所」のようなものを設定するタグです。
これは先ほどの〔順位〕と同じですね。
そして、ppl[i][j] の部分は、変数 i と変数 j という添え字が2つ記述されています。
これは前回みたとおり、i番目の配列のうち、j番目の要素を指定するのでしたね。
ということは、変数 i が「0」で変数 j が「0」のときは、要素「特別区」が取り出されることになります。
そして、さらに変数 j が「1」のときは「979」、「2」のときは「東京都」が取り出され、それぞれ document.write により出力されることになり、合計3回で変数 i が「0」のときのループが終了します。
したがって、外側のループ1回目の時点で出力されるコードは下記のようになります。
出力される HTML の一部
<table border = "1">
<tr>
<th>〔順位〕</th><th>市・区</th><th>人口(万人)</th><th>都道府県</th>
</tr>
<tr>
<td>〔1〕</td><td>特別区</td><td>979</td><td>東京都</td>
</tr>
内側のループ処理が、<tr> の生成、<td>〔1〕</td> の生成の次にあるのでこのようになります。
外側のループ処理の1回目、つまり変数 i が「0」のみの処理ではどのように出力されるでしょうか。
ブラウザ
〔順位〕 | 市・区 | 人口(万人) | 都道府県 |
---|
表の内容の1行目のみが出力されています。
そして、ループ処理の2回目、つまり変数 i が「1」のときも同様に処理されます。
出力される HTML の一部
<table border = "1"> <tr> <th>〔順位〕</th><th>市・区</th><th>人口(万人)</th><th>都道府県</th> </tr> <tr> <td>〔1〕</td><td>特別区</td><td>979</td><td>東京都</td> </tr> <tr> <td>〔2〕</td><td>横浜市</td><td>376</td><td>神奈川県</td> </tr> </table>
ブラウザ
〔順位〕 | 市・区 | 人口(万人) | 都道府県 |
---|
表の内容の2行目までが出力されています。
この後、変数 i が「2」から「9」まで繰り返され、冒頭にあった表が出力されることになります。
5 次回
少し複雑でしたね。さて次回は、復習を兼ねて今回の処理を少し簡単に記述する方法を勉強します。
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