ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 第2部

 株式投資の教科書として有名な『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んでみました。


1 本書について

ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版>

バートン・マルキール 著
日経BP 日本経済新聞出版
2023年5月26日
512ページ

  • 第1部 株式と価値
  • 第2部 プロの投資家の成績表
  • 第3部 新しい投資テクノロジー
  • 第4部 ウォール街の歩き方の手引

2 内容

第2部 プロの投資家の成績表

第5章 株価分析の二つの手法

(分析手法)

  • テクニカル分析:チャートを作り、それを解釈する。株価の動きの90%は心理的な要因
  • ファンダメンタル分析:企業の成長率などを予想して株式の本質的価値を推定する。株価の動きの90%は合理的な要因

(チャート)

  • 追うのは株価の動きだけ
  • チャート分析の信奉者はトレーダーであり、長期投資家ではない。

 チャート分析により株式投資を行うのは「投資」ではなく、「投機」であると断言しています。
 ということは専業の「トレーダー」ならば、この手法もあり?

(テクニカル分析)

  • 群集心理における集団形成本能があること、投資家の情報収集能力に差があること、投資家は当初、過小にしか反応を示さないのでトレンドが続くことがよりどころ
  • 抵抗線や支持線により判断する

(テクニカル分析の問題点)

  • トレンドが形成された後にしか投資できない。
  • 同じ手法を用いる人が増えた場合、有効性が低くなる。
  • それよりも早くシグナルを見出そうとして、さらに予想の不確実性が高まる。

 よく言われるのは、チャートが示す株価の動きは「後付け」の理由で行われるという点です。
 抵抗線や支持線は図で示されるため直感的に理解しやすいのですが、解釈の仕方にいろいろなパターンがあるので確実性・再現性がありません。

(評価の要素)

  • 期待成長率:投資家は配当や利益の成長率が高いほど、株式に対して高い価格を支払う。
  • 支払相当額:投資家は他の事情が等しければ、株主に還元される割合が多いほど、高い株価をつける。
  • リスクの度合い:投資家は他の事情が等しければ、株式のリスクが低いほど、高い価格を支払う。
  • 金利水準:他の事情が等しければ、金利水準が低いほど株価は高くなる。

(注意事項)

  • 期待が正しいかは現時点では証明できない。
  • 不完全なデータからは正確な期待値を計算できない。
  • 成長率の高さに対してどれだけのプレミアムを支払えばいいのかわからない

(ファンダメンタルズ分析の問題点)

  • 情報が正しいとは限らない。
  • 価値の推定を誤る可能性がある。
  • 市場が特定の間違いを速やかに訂正するとは限らない。

 ファンダメンタルズ分析についても、情報が不十分なことや確実に伝わらないことが指摘され、結論が正しいとはいえない点が強調されています。

(成功するためのルール)

  • 利益成長率が今後5年以上、市場平均以上の銘柄を買う。
  • 株価がファンダメンタル価値以上になっている銘柄には手を出すな。
  • 投資家が「砂上の楼閣」を作れるようなストーリーが描ける銘柄を探す。

 筆者はこれらの方法のメリットを抽出して、このようにすべきこと または してはならないことを整理しています。


第6章 テクニカル戦略は儲かるか

(モメンタム)

  • テクニカル分析は特定のパターンの繰り返しを前提にしている。
  • 徹底的なテストの結果、全く規則性はなく役に立たない。

(コイン投げ)

  • コイン投げの結果をチャートにしてみると、通常の株価チャートと驚くほど似ている。

 あくまでチャートの動きは偶然ということ。

(儲かるか)

  • 有用な情報は得られないため、バイ・アンド・ホールド戦略を上回ることはできない。

(高度なテクニカル手法)

  • フィルター法
  • ダウ理論
  • 相対強度法
  • 株価 - 出来高法
  • チャートパターンのコンピューター分析
  • 結局、人はランダムな事象からパターンを探そうと努めるもの。

(その他)

  • スカート丈
  • スーパー・ボウル
  • ダウの負け犬戦略
  • 一月効果

(投資家への示唆)

  • テクニカル理論は投資家に頻繁な売買を行わせることになり、多くの手数料や課税が発生する。
  • 大きな上げ相場の95%が、全取引日のうちたった1%強の取引日に発生した。
  • したがってバイ・アンド・ホールド戦略が有効である。

 結局、テクニカル分析の欠点だけでなく、頻繁な株式の売買が行われることによる時間やお金が無駄となることもデメリットです。


第7章 ファンダメンタル主義者のお手並み拝見

(利益予想能力)

  • 長期間一貫して高成長を続ける企業を予見することはできない。
  • なぜならそんな企業は存在しないから。

(アナリストが予想を誤る原因)

  • ランダムな事件の発生
  • いかがわしい利益の捻出
  • お粗末なエラー
  • 分析者は証券会社のセールスマン、アナリストから運用部門への転向することも
  • リサーチ結果と銀行部門への貢献度とが相反する

(投資信託)

  • プロが運用する投資信託も、ランダムに銘柄を選んで作ったポートフォリオも、結果は変わらなかった。

 結局、株式価格の変動の要因となる世の中の事象はランダムに発生するため、それらを集めてつくったポートフォリオもランダムとならざるを得ません。


 第3部につづきます。

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